「経理ソフトの会社からダイレクトメールが届いたけど、そこに書かれているサービスを使う必要がある?」
お客さまからこんなご相談をいただきました。
ダイレクトメールの内容は、2023年10月からのインボイス制度の対応と、2024年1月から対応が必要な電子帳簿保存法についてのサポートプランの案内でした。
結論:使わなくてもいい。ただし、貴社で準備すべきことがいくつかある
ということで、その理由や考え方についてご説明しました。
電子帳簿保存法で何が必要になる?
まずは、電子帳簿保存法でどんな対応が必要か、税理士さんのYouTube動画を見て勉強しました。
こちらの動画がわかりやすくてオススメです。
動画の主要部分を要約すると
詳しくは動画をご覧いただきたいですが、内容をざっくり要約すると、次のとおりでした。
電子帳簿保存法で多くの人が誤解していることがある
それは紙の領収書をスキャンして保存する必要がないということ。
電子帳簿保存法には、次の3つの要素があり、任意の要素と、義務の要素がある
- 「電子帳簿」は、任意
- 「スキャナ保存」も、任意
- 「電子取引データ保存」は、義務
そして、3番目の「電子取引データ保存」のために、「事務処理規程」をつくり、社内周知する方法がある。
【以下、個人の感想です】
スキャナ保存って、必須じゃなかったんですね。驚くと同時に、少し安心しました。
メールとかネットでやり取りする取引データだけを、しっかり電子で保存しておけばいいということですね。
(小言)それにしても、国の説明ページを見ると、3番目の「義務」がいちばん下に書かれてて、その上の1と2も義務であるかのような誤解を誘発しかねない嫌な印象を受けます。
電子取引データの具体的な保存方法
データの整理と分類:
データは事業年度ごとに整理し、分類することが重要です。
例えば、売上、経費、契約書などのカテゴリーに基づいてフォルダを作成し、関連するデータをそれぞれのフォルダに保存します。
検索可能性の確保:
保存されたデータは、日付、金額、取引先名などのキーワードで容易に検索できるようにする必要があります。これは、ファイル名にこれらの情報を含めることで実現できます。
データの保存形式:
保存形式は、一般的にアクセス可能な形式(例:PDF、JPEG)が理想です。
特殊なソフトウェアを必要とする形式は避けるべきです。
データのセキュリティとバックアップ:
保存されたデータは、不正アクセスやデータ損失から保護するために、適切なセキュリティ措置を講じる必要があります。
また、定期的なバックアップを取り、異なる場所に保存することでデータの安全性を高めます。
クラウドサービスの活用:
クラウドストレージサービスの利用は、データのアクセス性を高め、物理的なデータ損失のリスクを低減します。
ただし、信頼できるサービスプロバイダを選び、適切なアクセス管理を行うことが重要です。
保存期間:
電子取引データは、通常、取引日から7年間保存することが求められます。
メールやチャットのデータも保存する
メールやチャットの履歴も電子取引データとしての保存が重要です。
Gmailではラベル付けしたり、バックアップをとる方法で対応可能です。
国が出しているフローチャートなどで対策を考えるとわかりやすい
国が出しているフローチャートなどを動画と一緒に見ると、どんな対策をとればいいのかわかりやすかったです。
こちらの「電子取引データの保存方法(国税庁/PDF)」の2~3ページ目。
IT屋としての対応
中小企業はシステム不要
「中小企業では、わざわざシステムを導入しなくても、クラウドストレージを使って対応することで十分。」
動画で制度説明を聞くと、こちらの税理士さんのご意見に私も全く同意見です。
実際に、国が出している資料でもはっきり書かれています。
今回ご相談されたお客さまもGmailを日常業務でお使いですので、Gmailのラベル付けやクラウドストレージ(Googleドライブなど)の活用などをご提案して、手間と費用をそれほどかけず、安心して2025年を迎えていただこうと思います。
あと、これはIT屋の仕事ではありませんが、改ざん防止の対策の一つとして、「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を社内で作成して共有するという方法があるようですので、こちらの国税庁ページの一番最後にリストアップされている「ひな型」をもとに、作成していただくようにします。
よく考えたら、弊社も対象だった
どうやらこの電子帳簿保存法の関係は、それなりの企業規模の事業者さんだけじゃなくて、全部の事業者さんが対象なんですよね。
弊社のように「ひとり起業」で個人事業主とか弱小法人のようなところでも。
電帳法はインボイス制度と同じで、影響範囲が全部の事業者に及ぶというもののようです。
当然、副業で事業をやっておられる人も対象になりますね。
「猶予措置」とやらはあるようで、国の資料でも人手不足や資金繰りがつかないといった事情はある程度聞いてもらえるように読めますが。
ただ、遅かれ早かれ対応が必要になってくることは間違いないです。
今回ご紹介したフローチャートでは、年間売上5,000万円を超えるかどうかで準備の精度が変わってはくるのですが、「事務処理規程」のひな型には、しっかりと個人事業主用のものも準備されていました。
他人事みたいに思っていたけど、私のような個人事業主さん・弱小法人さんも多いかもしれませんね。
実際、今回ご相談があった法人のお客さまも「関係ない」って思っておられましたし。
というわけで弊社もさっそく「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」をつくって対応しました。
弊社の事務処理規程(ご参考まで)
参考:一次情報へのリンク
- 電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁
- 電子取引関係|国税庁
- 電子取引データの保存方法(国税庁/PDF)
- システム導入が難しくても大丈夫!! 令和6年1月からの電子取引データの保存方法(国税庁/PDF)
- 参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁
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